文学上の表現
相合い傘は二人の親密さを表現する言葉としても多用されており、それは江戸時代の川柳や浄瑠璃(近松門左衛門『津国女夫池』享保6年「君と淀とが。相合笠の袖と袖。」)、滑稽本(式亭三馬『浮世風呂』「夫婦とおぼしき者、相合傘(アヒヤイガサ)で、しかも欣然として通る」)において既に見られる。また、異性と親密になるきっかけとして相合い傘を持ちかける川柳などもある[2]。
雨に濡れないよう互いに肩を寄せあう情景から、しばしば二人が恋愛関係であることを暗示する。また、1920年(大正9年)に発行された『日本大辞典:言泉』(落合直文著、芳賀矢一改修、大倉書店刊)によれば、俚言、俗語として、男女間の情交もさすとしている。
男女が行う場合は、身長が女性より高いであろう男性が傘を持ち構える。さらには、雨にぬれるのを厭わず傘を持っていない方の肩を傘からだすことによって、二人で使うには窮屈な傘に場所をつくり女が雨にうたれてしまうのを避ける、というシーンは物語や映画などにおいてよく見られる。前途の川柳の中には、女性側も気を使い、結果両名とも肩を濡らす情景を詠んだものもある。恋愛を主題にした物語においては、恋愛のステップを描く道具として、様々な状況で相合い傘は盛んに使われる。
林不忘の『寛永相合傘』は、斬り合い共に果てた甚吾と十郎兵衛を指してタイトルに「相合傘」を用いている[3]。